会員数175万人の『ラブコスメ』を企画編集。2003年に日本ではじめて『セクシャルヘルスケア』を提唱し、恋愛やカラダのことで友人にも聞けない性に関する悩み解決の専門家として発信。SNSにて『夜の保健室』を展開し、小説や漫画など書籍も多数。記事・動画・アプリで「愛し合うこと応援する」ために幅広く活動している。
夜の保健室大辞典「大江戸48手のやり方」
『テコがかり』のテコとは、漢字にすると梃子。”テコの原理”のテコです。
男性をテコの棒に見立てると、支点となるのはペニス。とても珍奇な体位ですが、正常位に分類されます。
テコがかりは48手の中で『立ち松葉(たちまつば)』と並んでもっとも難しい体位です。テコがかりは挿入、ピストン、姿勢の維持がとても難しく、テコがかりを得意とするAV男優も数えるほどしかいないそう。
それだけに、テコがかりが成功すれば、二人は間違いなくセックスの上級者。
セックスのマンネリ打破のために趣向を変えて、アクロバティックな体位やテコがかりのような珍妙な体位を取り入れれば、スポーティーにセックスを楽しめるでしょう。
テコがかりは仰向けになった女性の上に、うつ伏せの男性が覆いかぶさります(俗にいうシックスナインの体位です)。このとき男性の頭は女性の足先に、女性の目の前には男性の足がきます。
うつ伏せになった男性は、勃起したペニスを手で下に押さえつけながら挿入します。勃起したペニスが柔らかいと挿入ができず、逆に硬すぎるとペニスを押し下げる時に痛みを感じたり、挿入が難しくなります。
10代から20代の男性の力強い勃起はペニスが上向きですが、テコがかりの場合はそれが裏目に出ます。
勃起した時のペニスの硬さは十分でありながら、角度がやや下がり気味になる30代から50代くらいの男性に向いた体位かもしれません。
テコがかりは、お互いの秘部を愛撫しあう『椋鳥(むくどり)』からの移行がベスト。椋鳥からテコがかりを始めれば、男性が女性の足側に前進して、ペニスを挿入すればテコがかりの姿勢になります。
テコがかりは非常に挿入が難しい体位ですので、椋鳥でしっかりお互いの秘部を濡らしてから始めましょう。
テコがかりの挿入は48手の中でもっとも難しく、最大のポイントとなるのはペニスの勃起の具合です。硬すぎず、柔らかすぎず、適度な硬さのペニスであれば挿入しやすくなります。ペニスを押し下げて痛みを感じない程度の柔らかさでありながら、挿入後に中折れしてしまわないほどよい硬さが求められます。
男性はペニスを押し下げつつ、膣口にあてがいながら両ヒザを少し曲げて挿入します。挿入が難しいので、女性もペニスを膣口に誘導するなどサポートしましょう。女性は足を少し広げれば挿入がしやすくなります。
うまくペニスが挿入してテコがかりの姿勢になったら、男性は両手でバランスをとりながら、上半身を前後に揺さぶることでピストンをします。テコがかりの挿入は浅めなので、あまり男性が激しく動くとペニスが抜けてしまいます。小刻みにピストンするのがポイント。
勃起したペニスが上に向こうとする力で、膣内ではペニスがお尻側を押さえつけるような挿入感が楽しめます。Gスポットの対面にある裏Gスポットを重点的に刺激できるので、裏Gスポットが性感帯の女性にとっては感度の高い体位かも。
あるいは、あえてピストンせずに男性が腰を女性のデリケートゾーンに擦りつけるようにすれば、膣口を支点にペニスで膣内をまさぐるような動きができます。
テコがかりの最大の難点である挿入の難しさは、男女が平行になっていることが原因。しかも男性と女性は頭と足を逆に向けているため、さらに挿入が困難なものになります。それを解消する2つのアレンジを紹介。
一つは女性の背中に枕や丸めた毛布を敷いて腰を浮かせる方法。女性の腰が浮くので男性は挿入しやすくなります。もう一つのアレンジは、男性が足をまっすぐ伸ばし、氷を滑るペンギンのような姿勢になります。背中を反らせば女性の体に対して角度がつくため、1つ目のアレンジと同様に挿入しやすくなります。
どちらのアレンジもピストンの時に、男性は腕力を使って体を揺さぶるようにピストンをすることになるので、男性の負担が大きくなります。
テコがかりは足フェチの男性にとって、フェチズムを満たしてくれる数少ない体位。男性から見て目の前に女性の足先があるので、指を思う存分に愛撫できます。
足フェチでなくても女性の両脚を抱きしめれば、お互いの体の密着感が増します。
テコがかりはペニスを無理な方向に曲げて挿入します。ペニスに強い負荷がかかります。激しい動きや無理な挿入でペニスを傷めてしまうことも。
また女性も、他の体位にはない角度でペニスが挿入されます。ペニスによる強い圧迫感が痛みに変わることもあるので注意しましょう。
女性には男性の体重のほとんどがかかるため、重苦しく感じるかも我慢せず、息苦しさを感じたらテコがかりはやめましょう。
テコがかりの姿勢で、女性の視点から見えるのは男性のお尻。男性は体を動かしやすくするため、両ヒザを曲げると肛門があらわになります。
それを見る側の女性は恥ずかしいかもしれませんが、それ以上に男性は羞恥心でいっぱい。無理な体勢で頑張る男性を見守りつつ、女性には負担のない体位なのでリラックスして特異な挿入感を楽しみましょう。
女性は仰向けになるだけで、男性の体重を受け止める以外の負担はありません。ここで無理な姿勢で頑張る男性にご褒美として、とっておきの愛撫テクニックを紹介。
女性の両手が空きますので、男性の玉袋をくすぐったり、軽く爪で刺激してみましょう。男性からすると、ペニスの挿入感に加えて玉袋への刺激は極上の悦び。
さらに上級者になれば、指にコンドームをかぶせて男性の肛門に浅く指を挿入。そして前立腺マッサージもできます。 男性に前立腺マッサージをしながら、ペニスを挿入できる体位はテコがかりが唯一の方法です。
男性がマゾヒストなら、男性のお尻をスパンキングするといったソフトSMプレイも取り入れられます。肛門をあらわにする羞恥心も加わって、男性は深い快感を味わえるでしょう。
セックスに精通したカップルだけができる究極の体位が、このテコがかりと言えるでしょう。
挿入と姿勢の維持が難しく、他のどの体位にもない姿勢のテコがかり。セックスの初心者から中級者でも、テコがかりの本当の魅力は分かりにくいもの。セックスの上級者にとってテコがかりは、特殊な快感を得るための手段の一つ。
テコがかりのメリット
難易度の高い体位を実践する達成感
足フェチの男性にはたまらない足の愛撫ができる
裏Gスポットを強めに刺激できる独特の快感
挿入しながら男性の玉袋を両手を使って刺激できる
前立腺マッサージをしながら挿入できる唯一の体位
マゾヒストの男性にはお尻をスパンキングできるSM要素
どれもがマニアックなセックスの楽しみ方ばかり。特に挿入しながら、女性の足を愛撫したり、前立腺マッサージができる体位はテコがかりだけ。
マニアックであればあるほど、テコがかりは特殊な性癖を持ったカップルにとって重宝する体位なんです。
テコがかりのデメリット
挿入することが難しい
姿勢を維持することが難しい
ピストンが難しい
男性は肛門が丸見えで恥ずかしい
女性は男性の体重を受け止めるため重苦しい
激しく動くとペニスや膣に痛みを感じることも
テコがかりを成功させるためには、このようなデメリットを乗り越えなければなりません。
セックスの上級者にとっては、これらのデメリットを乗り越える価値がある体位とも言えます。テコがかりが楽しめるようになれば、セックスの上級者の仲間入りです。