「我慢汁」は先走り液とも呼ばれる男性器の先からにじみ出る液体ですが、その役割や成分が何かをご存じでしょうか?正式には「尿道球腺液」「カウパー腺液」という名で、妊娠しやすさをサポートする役割を持っています。
では、精液が出ていなくてもカウパー液だけで女性が妊娠する可能性はあるのでしょうか。まだ妊娠を望まない方は、カウパー液による妊娠の確率はリスク回避のために気になります。挿入中にコンドームをつけてさえいれば安全なのか、それとも素股なども危険なのか、わからずにいる方は意外にも少なくありません。
この記事では、医師の山下真理子先生の監修のもと我慢汁(カウパー液)による妊娠の確率や妊娠しやすい条件、避妊の正しい方法をまとめました。精液に比べると、我慢汁は誤った知識を持った方がより多いもの。彼とのエッチを安全に楽しむためにも、素股や外出し、手についたカウパー液でも妊娠するのかなど、いろいろな角度から正確な情報をチェックしましょう。
我慢汁(カウパー腺液)とは?


我慢汁(カウパー腺液)について名前は聞いたことがあっても、実際にそれがどのようなものなのか知らない方は多いものです。妊娠のしやすさについても「精液ほどではなさそう」と思われがちです。
しかし、我慢汁は意外と重要で妊娠の可能性にも大きな関連を持つもの。現在妊娠を望んでいないカップルは、その成分や役割などの情報をしっかりと理解しておきましょう。
がまん汁とは
我慢汁は、男性が勃起したときに亀頭の先からにじみ出てくる無色透明な液体です。性的興奮とともに精液に先立って出てくる少量の液体で、やや粘り気があり、弱アルカリ性の性質を持っています。
一度に分泌される量も少なく、精液のような匂いもありません。女性がオーラルをしているときに、ほのかに塩味を感じたり、男性器を手で刺激したときに透明で粘り気のある液体が手についたりするのは、がまん汁が分泌されているためです。
カウパー腺液、尿道球腺液、先走り汁、透明な精液など呼び方はいろいろ
我慢汁は、男性の前立腺の近くにある「尿道球腺(カウパー腺)」から分泌されることから正式名称は「尿道球腺液」、一般的には「カウパー腺液」とも言います。カウパー腺、カウパー腺液の「カウパー」はこの粘液を解剖学の書籍に発表した外科医からついた名称です。
ただし「尿道球腺液」という複雑な名前のせいか、実際にはいろいろな呼び方をされています。メジャーな言い方としては「我慢汁」や、精液に先走って出るため「先走り汁」などが挙げられるでしょう。正確には精液とは別物ですが「透明な精液」と呼ぶ人もいるようです。カウパー腺液を短縮して、単に「カウパー」とも言われます。
我慢汁と呼ばれる由来
カウパー腺液は一般的に、我慢汁との呼び名をされることが多くあります。これは主に、カウパー液が勃起をしてから射精までの間に出やすいことと関係しているようです。分泌のタイミングとして射精を「ガマン」しているタイミングで出るために「ガマン汁」。しかし実際は射精感が高まっていなくても、勃起直後からマッサージをすればあふれてくるものです。わかりやすい呼び名ですが、じつはカウパー腺液は単なる射精しそうなサインなどでなく、とても重要な役割を持っています。
カウパー腺液の役割
カウパー腺液は、男性の射精と精子の活動をサポートし、女性の妊娠確率をアップさせるという重要な役割を持っています。たとえばカウパー腺液の粘り気は、性器の摩擦を減らして挿入をスムーズにするためのものです。
また、男性の尿道や女性の膣は普段、弱酸性の性質を帯びており、酸に弱い精子がそこへ流れ込むとダメージを受けてしまいます。そこでアルカリ性を持つカウパー腺液が尿道や女性の膣を中和し、弱アルカリ性の環境にすることで精子を活動しやすくしているのです。
カウパー腺液(我慢汁)でも妊娠する理由

カウパー腺液、いわゆる我慢汁は妊娠を「サポート」する成分ですが、じつは我慢汁だけでも妊娠する可能性があります。カウパー腺液は精液と同じ通り道を通って、外に排出されています。そのため勃起している状態では、成分中に精子が含まれていることも十分にあり得るのです。精子の含まれたカウパー腺液が膣内に入れば、妊娠の可能性は高まるでしょう。
カウパー液は精子を作る部位とは別のところで作られますし、元々カウパー液自体には精子は含まれません。しかし、排出までの過程で精子が入る可能性はゼロではないと言えます。また、精液とカウパー液の分泌が明確に切り替わることはないので、今どちらが出ているかの判断も難しいでしょう。
素股も危険!我慢汁(カウパー腺液)から妊娠する具体的な行為の例

我慢汁(カウパー腺液)の妊娠の確率は、実際の研究が難しい為明確に調査はされていません。しかし「外だし(膣外射精)」による妊娠率は一般的に22%と考えられており、この外出しはカウパー腺液による妊娠の確率に近いととらえることもできます。一方で排卵日前後7日間(排卵日前6日間と排卵後1日)の妊娠率は29歳以下の場合30~50%。十分高い数値であるということがわかるかと思います。
万が一望まない妊娠をしてしまってからでは遅いため、きちんとリスクを知っておく必要があります。素股や生でのセックス、コンドームのタイミングなど、妊娠の可能性を高める具体的な行為をチェックしておきましょう。挿入だけでなく手での愛撫にもリスクはあるようです。
外出し(膣外射精)
先ほど例に挙げた外出しとは、コンドームをつけない状態で挿入し、射精をする寸前に膣からペニスを抜くという方法です。避妊方法の一つと考える人も多くいますが、実際には妊娠の確率が高く、避妊の効果はありません。上記のとおり我慢汁にも精子が含まれている可能性はあり、我慢汁とともに膣内に入る可能性があります。また膣外に抜くまえにうっかり少し射精してしまっても女性からは分かりませんし、我慢しきれずに直前で出てしまうことは十分にあり得ます。
そもそも射精は男性が自分の意思である程度コントロールできるかもしれませんが、我慢汁は意思に関係なく出てくるものです。また、射精の前ほどにじみ出やすくなるため、精液は外出しをしても我慢汁はすでに膣内へ流れ込んでいる可能性が高いと言えます。
コンドームを射精前につける
コンドームの使用はもっともメジャーな避妊方法であり、正しく使用すれば感染症予防にも効果が期待できます。しかし、間違った使い方をすれば「コンドームを使っていたのに妊娠した」という事態にもなりかねません。たとえば「射精直前」のコンドームの装着も、間違った使い方の一つです。
外出しと同様、我慢汁は射精の前にも分泌されており、男性が自分でコントロールできるものではありません。そのため、射精前だからといってコンドームなしでペニスを挿入すれば、いつ精子を含んだ我慢汁が膣内に入ってもおかしくはないでしょう。
動かないけれど、ちょっとだけ生で入れる

基本的には毎回コンドームを使っているというカップルでも、たまに「少しだけなら」と生での挿入を許してしまうことがあるかもしれません。たとえ挿入するだけで動かなかったとしても、またそれがものの数秒だったとしても、妊娠の可能性を引き上げてしまう行為です。
我慢汁は射精のように自分の意志で止めることができないため、生で挿入したタイミングに膣内で出てしまう場合があります。膣の浅い部分や手前に付着した程度でも膣に入り込む可能性はあるため、「先の部分だけなら」という考え方も安全とは言えません。
素股、マンズリ(性器すり合わせ)
素股やマンズリなどの行為も、挿入ほどではないものの妊娠の可能性があります。これらの行為は挿入と異なり、男性器を膣の中にまで入れません。しかし、膣の浅い部分や手前に付着した精子が膣の奥まで入り込むことはあるため、妊娠の可能性がないとは言えないのです。
素股とマンズリは実はやり方が異なります。
マンズリは性器同士をすり合わせる方法で、素股は性器同士を触れ合わせず太ももなどに挟んで刺激をします。
素股は性器同士が触れ合わないのであれば、マンズリとは違って妊娠しにくいのでは?と思うかもしれません。マンズリがとても危険な行為であるのは間違いないのですが、素股も十分妊娠につながる行為です。行為をする時は、必ずコンドームを着用してからにしましょう。
なお、素股のやり方と気持ちよくなるコツは、下記記事で詳しく解説しています。一般的な騎乗位以外の素股の種類も紹介しているので、ぜひ参考にしてみてください。
素股の魅力とやり方についてはこちら
手マン、指入れ
女性の性器を男性が手で愛撫する際、その手を介して精子が膣に入り込んでしまうこともあります。男性が何の気なしに自分のペニスに触れたことで手に我慢汁が付着し、そのまま女性の膣内に入るケースです。
「精子は空気に触れた瞬間に死ぬ」という説を耳にしたことがあるかもしれませんが、これは間違っています。精子が体外で長く生きられないことは確かであるものの、我慢汁など体液が乾いていない状態であれば、まだ精子が活動している可能性も否定できません。
妊娠の不安をなくすためには、男性が女性器に触れる前にしっかりと手を清潔にすることが大切です。カウパー液が手についたのであれば、ティッシュやタオルで拭いたり洗ってから愛撫をしてもらいましょう。
我慢汁がつきそうなプレイが怖い…彼にも理解してもらうには?


直接性器をこすり合うわけではない素股も、性器同士が触れるわけでもない手マンや指入れでも、我慢汁が膣内に入って妊娠する可能性はあります。性器の近くにカウパー腺液がつく行為は、女性としてはどうしても不安が残るかもしれません。
それでも雰囲気を壊したくないなどの理由で、なかなか不安な気持ちを伝えられないこともあります。そんな女性の思いを理解してもらい、ラブタイムをより安全に過ごす方法を紹介します。セックスは二人で協力し合ってするものなので、心配事も分かち合って安心できるセックスを目指しましょう。
まずは二人で避妊の知識をつける
妊娠したくないカップルは、それぞれが自覚を持って、いつでも適切な避妊方法を選ばなければいけません。これまでコンドームなしで妊娠しなかったとして、次回も大丈夫とは言い切れません。「きっと大丈夫」「今日くらいは平気だろう」といった一度の安易な判断が、思いがけない事態に発展することもあります。セックスを軽んじることなく、まずは真剣に避妊の知識をつけましょう。一時的な快楽に流されて避妊をないがしろにしないように、妊娠後の大変さを知っておくのもおすすめです。
残念ながら日本の性教育は十分であるとは言えない状態で、正しくない知識を持っている人も少なくありません。体の仕組み上、どうしても妊娠の危機感は女性より男性の方が低くなりがちで、自分から情報を収集する人も多くないです。しかし大切な彼女からの訴えであれば耳を傾ける男性も多いことでしょう。
女性も「恥ずかしい」という理由からどうしても受け身になりがちですが、セックスをする以上避妊について詳しく知ろうと彼に提案するのは何も恥ずかしいことではありません。むしろ大人の女性として、魅力的なことです。是非女性から積極的に「二人で避妊や子育ての知識をつける」きっかけづくりをしていきましょう。
もちろん妊娠は悪いことでは決してなく、むしろおめでたいことですが、タイミングを間違えると大変な思いをします。特に女性の心身には大きな負担がかかり、男性も父親としての責任を持たなければなりません。セックスも避妊も二人の協力あって成り立つものです。
不安な気持ちは正直に伝える
不安な気持ちを素直に伝えれば、誠実な彼ならあなたの気持ちに寄り添ってくれるはずです。不安を伝えるときには「嫌だ」「したくない」と感情任せに拒絶するのではなく、「こういう理由で不安になる」と冷静に気持ちをまっすぐ伝えてみましょう。
理由を伝えることで男性もすんなりと理解でき、不安に対する具体的な対策を立てやすくなります。我慢汁が手についたら洗ったり拭いたりする行為も、「もしかして汚いと思われてる?」といった誤解を与えることなく受け入れてもらえそうです。
この時点で「それほど心配しなくても」と女性の気持ちを軽々しく扱うような男性は、彼女を大切にしたい気持ちより一時の快楽を求めるタイプと判断できそうです。このような反応をされたら、そもそも二人の関係性を見直す一つの機会になるかもしれません。
我慢汁で妊娠しないための正しい避妊の手順

我慢汁による妊娠を防ぎたいカップルのために、ここでは適切な避妊方法を紹介します。我慢汁は男性自身でコントロールしにくいうえに、色も匂いも少ないために、どのタイミングで出ているかはなかなか判断がつかないもの。そんな我慢汁を上手に避けて、妊娠を回避するにはどうしたら良いのでしょうか?正しい避妊のためには、カップルのどちらか片方だけではなく、二人で正しい避妊を知っておくことが重要です。
彼に愛撫したあとは手を洗うか拭く
我慢汁による妊娠を避けるなら、彼の性器に触れたあとの手に注意しましょう。うっかりそのままの手で自分の膣に触れたり、コンドームの表面を触ったりすることがないように対策が必要です。彼にコンドームをつけてあげるとき、手に付着した精子がコンドームに移ってしまったら元も子もありません。
できれば手を洗いたいところですが、さすがに洗面所へ立つのはムードが壊れそうにも思えます。その場合には、さりげなくベッドサイドにウェットティッシュを準備しておくと良いでしょう。
「ジャムウ・デリケートウェット」なら、デリケートゾーンにも使える優しい使い心地で、ラブタイム前に体を清潔にするためのエチケットとしてもぴったりです。シンプルなデザインで、枕元にもポーチの中にもマッチします。
彼に愛撫してもらうときも手を清潔にしてもらう
上述のとおり彼の手マンや指入れの際にも、我慢汁が膣内に入るリスクはあります。そうした行為の前には、彼にも手を清潔にしてもらうと良いでしょう。ラブタイムが盛り上がっていると、男性も無意識のうちに自分の体に触れている瞬間があるものです。とはいえ、この場合も手洗いでムードが壊れるのを避けるなら、ウェットシートなどで手を拭いてもらうことをおすすめします。
女性と一緒に「ジャムウ・デリケートウェット」を使えば、清潔な状態で愛撫に臨むことができ、妊娠の不安を軽減できるはず。また、ジャムウ・デリケートウェットはアルコールフリーで強い刺激がないため、拭いたそのままの手でデリケートゾーンに触れても安心です。
さらに指用コンドーム(フィンガーグローブ)を着用すれば、より衛生的に女性の愛撫をすることができます。
コンドーム装着前に彼のペニスも拭く
コンドームを装着する前に彼のペニスを拭いておくと、我慢汁の粘つきによってコンドームが外れるリスクを予防しやすくなります。我慢汁は色も匂いもわかりにくいため、ぱっと見では出ているのか判断できないかもしれません。しかし避妊の確率をより高めるなら、我慢汁が出ている前提で拭いておいたほうが安心です。
我慢汁は性器同士の滑りを良くして、膣内への挿入をしやすくする役割を持ちますが、それゆえにコンドームも滑りやすくなることがあります。挿入中、気付かない間にコンドームとペニスとが滑ってしまい、ズレて外れるリスクがあるのです。
ただし挿入している間でも、射精の前には我慢汁が出ます。予防策としては正しいコンドームの装着方法を守り、コンドームとペニスの皮を一体化させるように入念に確認するのがおすすめです。
コンドームは挿入前から抜くまでしっかりつける
コンドームは望まない妊娠や感染症のリスクを軽減できるアイテムですが、正しく装着しなければ十分な効果を発揮できません。丁寧に正しく装着するのはもちろん、つけるタイミングに関しても気を配りましょう。コンドームは挿入する前から射精、抜くまでの間、ずっとつけているのが適切です。
具体的な装着のタイミングは勃起したあと。硬くなったペニスはコンドームを装着しやすく、抜けたりズレたりしにくくなります。また、途中でコンドームが破れたり脱落したりするリスクに備えて、少しでも感覚に異変を感じたらすぐに状態を確認することも必要です。
より詳しく正しいコンドームのつけ方を知りたい方はこちらもご覧ください。コンドームが破れたサインなども紹介しています。
ペニスを抜く際は根元をしっかり握る
コンドームを装着したセックスでは、ペニスを膣から抜くまで油断してはいけません。射精を終えたら男性のペニスは硬さを徐々に失っていくため、コンドームとペニスの間に隙間ができる前に速やかに抜きましょう。その際コンドームが抜け落ちてしまわないように、ペニスの根元を男性がしっかりと握った状態で引き抜きます。
我慢汁への理解を深めて正しく安全なセックスを

我慢汁は性器の滑りや精子の活動を助けるもので、精液とは異なります。しかし、精子が我慢汁の中に紛れこんでいることもあり、妊娠に繋がる可能性も否定できません。
望まない妊娠を避けるためには、我慢汁が出るタイミングを理解したうえで正しく避妊を行う必要があります。セックスも避妊もカップル二人で向き合うべきことなので、女性は彼氏にもきちんと妊娠の不安を伝えて、一緒に知識を身につけていきましょう。

医療だけではなく、美容、タレント、モデルとして幅広く活躍している。著書に「あなたの魅力が10倍増すセックス」「夜のお悩み相談クリニック」の他、写真集「診て感じるクリニック」がある。
※本記事の医師監修に関して学術部分のみの監修となり、医師が商品を推奨している訳ではございません
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