
会員数175万人の『ラブコスメ』を企画編集。2003年に日本ではじめて『セクシャルヘルスケア』を提唱し、恋愛やカラダのことで友人にも聞けない性に関する悩み解決の専門家として発信。SNSにて『夜の保健室』を展開し、小説や漫画など書籍も多数。記事・動画・アプリで「愛し合うこと応援する」ために幅広く活動している。
夜の保健室大辞典大江戸48手
『後櫓 (うしろやぐら)』はいわゆる”背面立位”の江戸版名称のこと。二人とも立った状態で挿入できるので、狭い場所でもセックスができるのが特徴です。
48手の中でも比較的簡単にチャレンジできる後櫓。女性は立った状態で壁や窓枠に両手をつける姿勢になり、男性は後ろから女性を突き上げるように挿入する体位が後櫓です。
櫓(やぐら)とは砦やお城の城郭に設けられた見張り台のことです。窓際から外に向けて男性がバックから挿入するスタイルは、まさに櫓から外を見張るかのよう。
二人とも立った状態なので、トイレの中や洗面所など狭い場所でのセックスでは重宝します。上着を脱がず、スカートやワンピースを捲り上げて、ショーツだけ下ろせば後櫓はできるので、着衣セックスをしても衣服を汚したり、シワができにくいことから屋外でのセックスにも向いています。
背面立位のおすすめのシチュエーションや攻め方などは下記の記事でも紹介しているので、こちらもチェックしてみてください。
後櫓は壁や窓などに手をついた姿勢ですが、テーブルや椅子、バスタブや洗面台などの自分の身長より低いものに手をついた姿勢で行うと48手の『碁盤攻め(ごばんぜめ)』。
さらに、物に手をつかず、前屈して両手を床についた姿勢で行うと48手の『仏壇返し(ぶつだんがえし)』となります。
後櫓をしている男性の視点は『鵯越(ひよどりごえ:後背位)』のように女性を見下ろす状態になり、ピストンによってユサユサと揺れる女性の体は男性にとって、とても官能的に映る光景。
後ろ櫓は男性にとって、支配欲や征服感が満たされて、視覚的なエロスを掻き立てられます。
後櫓のやり方は、まず女性が壁や窓、ドアなどの遮蔽物に手をつきます。
足は肩幅くらいに開き、少しだけヒザを曲げて、お尻を突き上げるようにすると男性が挿入しやすくなります。逆に足を閉じてしまうと、いざ挿入した時にバランスを崩してしまうことがあるので注意。反対に足を開きすぎてしまうと、女性のお尻の位置が下がってしまい、男性がペニスを挿入しにくくなってしまいます。
後櫓は挿入が浅めでピストンの最中にペニスが抜けやすい上に、挿入する時はお尻の肉が邪魔をして挿入しにくいので、男性のペニスを手に持って膣口へ誘導してあげるとスムーズな挿入ができます。
女性は両手に体重を預けて、足がこわばりすぎないようにリラックス。男性は前後にピストンするというよりも、斜め上に突き上げるようにピストンするのがコツ。女性はGスポットの対面側にある裏Gスポットの刺激を楽しめます。
男性は女性が前に倒れないように両手で女性の腰をしっかり支えます。アレンジとして、女性の腕や肩を掴んで自分の体に引き寄せれば、前に倒れようとする女性の重心と女性の体を引き寄せる力を上手に利用することで、よりピストンがしやすくなります。
後櫓は深い挿入が難しい体位ですが、これを解決する方法が1つだけあります。それは女性の片足を持ち上げて挿入すること。女性の片足を持ち上げることによってお尻が広がり、より深い挿入を楽しむことができるようになります。
ただし、女性は片足立ちになるので、女性がバランスを崩さないように男性はしっかり支えるとともに、女性に負荷がかかる姿勢だということをよく理解した上でチャレンジしましょう。
後櫓はピストンをしつつ、女性の性感帯を刺激するのにも向いています。例えば、後櫓の時に女性の腰や胸を抱きかかえるようにすれば、体が密着するので女性の首や背中、耳への愛撫も可能に。
胸をマッサージ、乳首やクリトリスを指で刺激しながらと、同時にいろいろな刺激を楽しめるのも後櫓の醍醐味の1つ。
後櫓は男性と女性の身長差が大きい場合は不向きな体位です。男女の身長差が20cm以上あると男性が中腰のままピストンを続ける格好になり、男性の負担が大きくなりますので、お勧めできません。
また、男性はあまり強いピストンをしてしまうと、女性の体が激しく揺れてしまって、女性の頭が壁や窓にぶつかって危険です。女性を守るように腰をしっかり支えましょう。
後櫓は茶臼(騎乗位)のように女性が主導権を持つ体位ではありませんが、女性側から男性を誘うのに最適。
欲情した男性の野生的な本能を満たすことができる後櫓は、決して男性本位の体位というわけではありません。男性の支配欲や征服感を逆手に取って、女性から男性の性欲を刺激することも。
例えば、洗面台やバスルームで後櫓をすれば、野生的なセックスをしている鏡に映ったお互いの姿を楽しむことができますし、鏡ごしにお互いの視線を合わせるとさらに盛り上がります。上半身をひねって男性の顔を覗き込めば、ちょうど上目遣いになり、か弱くて可愛らしさをアピールすることも。
欲情をさらに掻き立てられた男性は、さらに強い快楽を追求するため、お互いに満足できるセックスができるでしょう。
後櫓では女性が姿勢をアレンジすることで楽しみ方を変えることもできます。女性が腰をつかむ男性の手を引き寄せて、体を密着させたり、お尻を突き出す姿勢になれば、自分で挿入の深さや膣内の刺激をコントロールすることもできます。
女性から見た後櫓のメリットはオーガズムの前兆として子宮口が下がった時、ポルチオ性感をダイレクトに刺激できるところ。立位の一種である後櫓は、重力によって他の体位よりも子宮口が下がりやすく、オーガズムに達しやすい体位の1つでもあります。
ただし、オーガズムを迎えた時、下半身の痙攣や腰が抜けたような感覚によって体勢を崩してしまうことがあるので注意が必要です。
ここまで紹介した通り、後櫓(うしろやぐら)のメリットは多くあります。
後櫓(うしろやぐら)のメリット
服を着たままセックスできるので屋外セックスや着衣セックスに向いている
狭い場所でもセックスが楽しめる
姿勢のアレンジによって体の密着度や挿入の深さ、角度をコントロールできる
ピストンと同時に愛撫や性感帯の刺激を同時に楽しめる
男性は支配欲を得やすく征服感を感じやすい
女性は男性にか弱く可愛らしさをアピールできる
比較的に女性がオーガズムに達しやすい体位
一方で、後櫓のデメリットとして
後櫓(うしろやぐら)のデメリット
身長差が大きいと難しい
男性に負荷がかかる体位なので長続きしにくい
挿入しにくく、挿入が浅くなりがち
バランスを崩すと危険
このように後櫓はメリットが多く、気軽に楽しめる体位ですので、セックスで体位を変える際にはレパートリーの1つに加えると情熱的なセックスの良いアクセントになるでしょう。
セックスは一種類の体位をずっとやり続けるだけでなく、複数組み合わせるとさらに満足度の高い時間が過ごせます。新しい体位にチャレンジするだけでなく、体位の順番を入れ替えたりの工夫もおすすめです。
白倉 敬彦. 『春画で読む江戸の色恋―愛のむつごと「四十八手」の世界』. 4版. 洋泉社. 2003. 334P. 書籍URL(https://www.amazon.co.jp/gp/product/4896917383)
車浮代. 『[カラー版]春画四十八手』. 1版. 光文社. 2018. 201. 書籍URL(https://www.amazon.co.jp/gp/product/4334787509/)
牧村康正. 『48H』. 竹書房