会員数175万人の『ラブコスメ』を企画編集。2003年に日本ではじめて『セクシャルヘルスケア』を提唱し、恋愛やカラダのことで友人にも聞けない性に関する悩み解決の専門家として発信。SNSにて『夜の保健室』を展開し、小説や漫画など書籍も多数。記事・動画・アプリで「愛し合うこと応援する」ために幅広く活動している。
夜の保健室大辞典「大江戸48手のやり方」
『鶯の谷渡り(うぐいすのたにわたり)』とは、ウグイスが谷を越えて山へ飛んでいく様子、枝から枝へ飛び移る様子を指す言葉。ウグイスといえば「ホーホケキョ!」と可愛らしくさえずる小鳥ですが、繁殖期のウグイスはメスを求めて可愛らしい声で鳴きながら飛んでいきます。
48手の『鶯の谷渡り(うぐいすのたにわたり)』は女性の体を男性が愛撫する一連の動作を指すもので、厳密には体位ではありません。
『鶯の谷渡り』は仰向けになった女性を男性が身体中を愛撫する動作を指すもの。男性による愛撫の仕方や姿勢については特に決まりがありません。
48手の中で『鶯の谷渡り(うぐいすのたにわたり)』と『寄り添い(よりそい)』はラブタイムの満足感を左右するほど欠かせない愛撫の行程です。ところが、悲しいことに多くの男性が『ウグイスの谷渡り』を省略してセックスを始めてしまいがち。
女性は男性に抱きしめられたり、愛撫をされると「幸せホルモン」と言われるオキシトシンが分泌されます。オキシトシンの分泌によって女性は幸福感に包まれながら、充実のラブタイムを楽しむことができるのは知っての通り。
一方、男性にもオキシトシンは分泌されるものの、興奮が高まると男性ホルモンの代表格であるテストステロンが優位になります。テストステロンが分泌されると幸福感よりも快感を求めるようになり、ガツガツとしたセックスをやりがちに。
挿入だけがセックスではありません。男性は女性の全身が性感帯だと思って、積極的に時間をかけて鶯の谷渡りをしましょう。その結果、女性が幸福感を得つつも膣がよく濡れて、挿入した時に男性自身も快感が高まります。
鶯の谷渡りのスタート地点は女性の唇が最適。熱いキスをしたら、ウグイスの向かう先はアゴの崖を飛び越えて、二つの山が連なる乳房へ。
途中で首筋やデコルテに寄り道しても良いでしょう。
乳房を優しくマッサージしながら、左右の乳首をたっぷり愛撫。女性は小鳥を愛でるように男性の頭を抱きしめたり、撫でてあげましょう。こうすることで男性は挿入への渇望がおさまり、リラックスした気分に。ゆったりとした前戯の時間が楽しめるようになります。
乳房から飛び立ったら、次はおヘソや脇腹を愛撫。本命の花園を飛び越えて、鼠径部や太もも、ヒザにも愛撫しましょう。
唇からデリケートゾーンへ至る鶯の谷渡りでさえずるのは、男性ではなく女性かもしれません。女性は全身への愛撫に身を任せ、快感に素直になって男性に愛らしくも官能的な喘ぎ声を聞かせてあげましょう。
鶯の谷渡りでお互いが満足するにはラブタイムを盛り上げるムード作りが大切。
前戯でラブタイムのムードを作るのも良いですが、体位ばかりが注目されがちな48手の中で、ラブタイムが幸せいっぱいに包まれる愛の技が1つあることをご存知でしょうか?
それは48手の『寄り添い(よりそい)』。寄り添いは男女が横になって寄り添うだけのこと。たったそれだけなのに、充実のラブタイムを過ごすには外せません。
男女の安心感、幸福感をシェアしつつ、これから始まるラブタイムに期待を膨らませる大事な時間です。
女性の体を飛び移るウグイスは1羽とは限りません。唇以外にも両手を使えば、3羽のウグイスが女性の体の上を飛び交うことに。
乳房に夢中になった男性の唇とは別に、両手を使って女性の脇腹や太ももを羽が触れるかのような刺激を与えてみましょう。まさにウグイスによるフェザータッチ。
ウグイスはウグイス。狼ではありません。男性ははやる気持ちを抑えて、女性の官能的なさえずりを耳にしながら優しい刺激を続けましょう。
ウグイスが飛び交うのは女性の胸やデコルテ、お腹、太ももだけではありません。女性がうつ伏せになっても、そこはウグイスの遊び場。
首筋から、背中、脇腹へキスをしたり舌を這わせてみましょう。腰を谷と見立てるなら、その先には二つの山が。
お尻を手と唇でたっぷり愛撫を楽しんだら、秘密の花園を飛び越えてヒザの裏へ。ヒザの裏も皮膚が薄く、快感を感じやすい部位。
そこから太ももへと上がっていき、お尻へと戻るルートもおすすめ。背中を愛撫しながら、片手で女性のデリケートゾーンを愛撫するのも良いでしょう。
鶯の谷渡りとは愛撫そのもの。男性が行う愛撫はこれまで紹介した通りですが、女性も男性を愛撫する方法はあります。
先ほど紹介した通り、自分の体を愛撫する男性の頭を優しく撫でてあげるのも効果的ですが、フェラチオをしながら、男性が鶯の谷渡りで女性を愛撫する方法も。
ウグイスが胸からデリケートゾーンへ飛び立とうとする時、男性が女性にまたがってシックスナインの姿勢になると、鶯の谷渡りから『椋鳥(むくどり)』に変化。男性が仰向けになって女性が上になれば『二つ巴(ふたつともえ)』に。
また鶯の谷渡りでの愛撫法は男性の唇や舌、両手だけとは限りません。ラブグッズを使ってみるのも効果的です。肌と肌の滑りを良くするローションを使えば愛撫の刺激が何倍にも強まります。
フレーバー付きのローションを女性に塗布すれば、男性は果実をついばむウグイスのように、夢中になって女性を愛撫するはず。男性がラブグッズを使えば、けたたましく鳴き続けるような、官能的な女性の喘ぎ声を聞けるでしょう。
鶯の谷渡りは男性が女性の体を愛撫する一連の動作を指すものですが、愛撫をすれば良いというものではありません。
愛撫の快感を高めるのはテクニックよりも心。男性は女性の体を愛撫しつつ、時々キスをして女性へ持て余すほどの愛情を表現しましょう。
愛の言葉を囁きながら、愛撫するのも一つの手段ですが、言葉という器に無理やり愛情をはめ込むのではなく、肌と肌が触れあえば言葉はなくとも愛の深さと大きさは、きっと相手に伝わります。
女性にとってラブタイムで一番欠かせないひと時こそが、鶯の谷渡りではないでしょうか。セックスで激しく快感を求め合う情熱的な愛の形もあれば、ペッティングをして優しく、穏やかに愛を表現することもできるのがラブタイムの醍醐味。
「愛でて撫でる」と書いて愛撫。男性からの愛情たっぷりの愛撫を一身に受けて、快感と幸せを噛みしめながら、お互いの気持ちを高めていきましょう。お互いを求める気持ちが頂点に達したなら、いよいよ挿入です。
鶯の谷渡りでの女性の役割は男性を優しく包み込むこと。女性の体や声に興奮した男性は本能的にセックスを急いでしまうもの。
これは男性の性格ではなく、男性ホルモンの働きによるものなので、前戯を省略しがちな男性に前戯の楽しさと大切さを知ってもらうには、言葉で諭すのではなく女性が男性をリラックスさせてあげることの方が有効的です。
女性は男性への想いを口にしたり、鶯の谷渡りをされていることの快感を正直に口にしてみましょう。「すごく上手」、「もっと続けて」と男性の承認欲求や自尊心を満たす言葉を選べば、男性はやりがいを感じて愛撫を続けてくれるはず。
男性の頭を撫でたり、体をさすったりしてリラックスを促しても良いでしょう。ローションやラブグッズを使えば、長く前戯が楽しめるようにもなります。プルプルと潤いのある唇になるためのリップケアやバストトップの黒ずみケアも男性の愛撫を引き出す効果的な手段。
男性に愛されるボディケアは、女性自身の悦びにつながります。
鶯の谷渡りはセックスの体位ではなく、前戯における一連の動作を指すもの。「寄り添い」と同じようにラブタイムには欠かせません。
鶯の谷渡りには明確な決まりごとはありません。男性は仰向けになった女性の体を好奇心と愛情を持って優しく、そして時に激しく愛撫をしましょう。
愛撫も唇や舌、指先だけではなくラブグッズを使うのも効果的。女性の興奮を促して、ラブタイムがさらに盛り上がります。
フレーバー付きのローションも一押し。男性は果実をついばむ小鳥のように女性へ体を愛撫、女性はローションによって愛撫の快感がさらに高まります。
男性は前戯をおろそかにしてしまいがち。時間をかけてゆっくり前戯をすることは、そのあとのセックスでの快感が高まることを意識しましょう。
女性はそんな男性を落ち着かせるように言葉とスキンシップでリラックスを促します。前戯というと、ついつい舌技やフィンガーテクニックに目がいきがちですが、前戯でもっとも大切なのは愛を持って愛撫すること。
快感はラブタイムの1つの要素に過ぎません。心と体を一つにして二人の愛情を育ててシェアするのがラブタイムの本質です。鶯の谷渡りはただの前戯だと思わず、二人の絆を深めつつラブタイムを盛り上げる有効な手段だと思って取り組みましょう。
セックスは一種類の体位をずっとやり続けるだけでなく、複数組み合わせるとさらに満足度の高い時間が過ごせます。新しい体位にチャレンジするだけでなく、体位の順番を入れ替えたりの工夫もおすすめです。