キスが体にもたらす医学的効果
ドキドキする、気持ちよくなるというだけでなく、キスは健康面でも良い効果をたくさん与えてくれます。どんな仕組みでどんな効果が得られるのか、まずはキスが健康に与える効果を詳しく紹介します。
幸せホルモン『オキシトシン』が出る
好きな人とキスをすることで幸せな気分になったことはありませんか?
好きな人とキスをすると、「オキシトシン」という脳内物質が分泌されることがわかっています。この「オキシトシン」は恋愛ホルモンや幸せホルモンと呼ばれています。分泌されることで、ストレスが軽減されたり、安心感が得られたりする物質です。
ラットを使った研究ではオキシトシンが増えると仲間同士が仲良くなったり痛みが軽減されたりという良い効果もたくさんわかっています。
アレルギーが緩和される
キスによる驚くべき効果のひとつは、アレルギーの緩和です。
大阪府の木俣肇医師が行った実験と論文によって、キスをすると花粉症やアトピーといったアレルギー反応が軽減されることがわかっています。この論文は2014年にイグノーベル賞の医学賞を受賞し、世界的にも注目されました。
そもそも体にストレスがたまると免疫力が低下し、アレルギー反応は大きくなります。逆に、キスをすることでストレス値が下がり免疫力を強くしているのではないかと推測できるとのこと。さらにこの研究ではキスとハグの比較も行われ、ハグをした場合には免疫力の向上は見られませんでした。
つまりアレルギー症状の緩和は、恋人同士のスキンシップでもキス特有の効果なのです。
口の中を清潔にする
キスは口の中の状態を清潔にするという効果もあります。アメリカのAcademy of General Dentistry(歯学会)によると、キスが口の中の衛生環境に影響を与えるのは、唾液と大きく関係しています。
キスをすると唾液の分泌が増えるのですが、そもそも唾液には食事のあとに口の中にたまるバクテリアを洗い流す役割があります。キスをすることで分泌が増えた唾液が虫歯の元になるバクテリアの除去に効果的だということです。
ちなみにAcademy of General Dentistryは、キスの効果で口の中を清潔にするためには、おやすみのキスのような軽いキスではなく、もっと濃厚なキスが効果的だと説明しています。彼に可愛く提案すれば、女性からのディープキスへのお誘いもハードルが低くなるかもしれません。
ストレスが減少する
キスをすることで、恋愛ホルモン・幸せホルモンである「オキシトシン」が分泌されることはすでに説明しましたが、この幸せホルモンはストレスを減少させる効果も。
幸せホルモンが、ストレスを感じる原因のストレスホルモン「コルチゾール」を減少させ、ストレスを減少させるというのです。また、リラックスしながら彼と心地よいキスを交わすことができれば、幸せホルモンの分泌がより多くなるため、睡眠と近いレベルのリラクゼーション効果が発揮されている可能性もあるのです。
血圧が下がる
キスのエキスパートとして知られるAndréa Demirjian氏の著書「kissing」には、キスには「血圧を下げる」効果があるとも書かれています。
好きな人とキスをするときに感じるドキドキが血管を拡張させ、心拍数を増加させます。血管の拡張と血流の増加が同時に起こることにより血圧が下がるということです。
痛みや苦痛を和らげる(エンドルフィン効果)
キスをすることで分泌される幸せホルモンは「オキシトシン」だけではありません。たとえばそのひとつが「エンドルフィン」という脳内物質です。
エンドルフィンは脳内麻薬の一種で、モルヒネの6倍以上の鎮痛効果があります。体や脳の苦痛を和らげたり、気分が高揚したり、多幸感が得られる効果があることでも知られています。
よく言われるのは「ランナーズハイ」です。マラソンをするとエンドルフィンが増えて、苦しいという感覚を通り越して、高揚感や満足感が高まります。
つまりキスをすることでエンドルフィンの分泌が活発になると、体の痛みが軽減され幸福感へと転換してくれるのです。まさにキスは「究極の癒し」とも言えます。
肌が綺麗になる
キスをすることで分泌される3つ目の脳内物質は女性ホルモンの一種である「エストロゲン」。エストロゲンには肌を美しく整える効果があります。また、この「エストロゲン」は肌を整えるだけではなく、バストやヒップなどの女性特有の体の発達にも影響する物質。
好きな人とたくさんキスをすることは、肌だけでなく女性をより美しくしてくれる効果があるというのは、女性にとってとても嬉しいことですね。
小顔になる
キスをする時、人は顔にある約30の筋肉を動かしています。キスは日常生活で動かすことが少ない筋肉も活動するため、表情筋の発達や頬周りを引き締める効果があり、これによって小顔効果を期待することもできます。
顔周りの筋肉は日頃なかなか動かすことができないため、キスによって筋肉が活発になれば筋肉が発達して、表情も豊かになっていきます。
免疫力がアップする
たとえば2014年に発表された「Microbiome Open Access Journal」の研究結果では、10秒間ディープキスをすると口の中の8000万もの細菌を互いに交換しあっていることがわかりました。
細菌が体内に入ってきたら病気になってしまうのでは?と思うかもしれませんが、少ない量の細菌であれば体内に抗体が作られ、免疫力がアップするのです。自然の予防接種ともいえるでしょう。
口の中にいる細菌の20%は人によって異なるので、自分の持っていない細菌の免疫をキスすることで獲得することができます。
相手との相性がわかる
人間が本能的にキスをするのは、相手との相性を判断するためとも考えられています。
唾液を利用したDNA検査があるように、唾液の中にはその人の遺伝子が含まれています。性の専門家であるCandice Smith氏によると、自分の気持ちが相手を好きかどうかということと、細胞同士の調和が取れていて体が相手を仲間とみなすかどうかは別の話だということです。Candice Smith氏は、キスをお互いの相性を確かめるリトマス試験紙にたとえています。
キスでお互いの唾液に含まれるDNAデータを交換し合うことにより、本能的に相性の良い相手がどうか体が見極めているというのは驚きです。付き合う上で体の相性が大切、という話を聞くこともありますが、キスの相性も大事にしてみるといいでしょう。